2018年08月25日
島と私と「離島ひとり旅」
10年ほど前、自己紹介などで「島好き」と書く自分に、小さな違和感があった。
島が好きではあるが、改まって「好きだ」と言うと何か違う。
奄美へ移るとき「そんなに島が好きなんだねえ」と問われると答えに困った。
そりゃ奄美は大好きだし、訪れたことのない全国の島を知りたい気持ちもある。
けれど「島が好き」だから奄美へ行くわけではない。じゃあ何なんだ…
しっくりくる答えが、ずっと出なかった。
3年ほど前、そんな私の前に「島旅好き」「離島女子」の権化が現れた。
おおはたさん(@oohatasan)である。
東京で会社勤めをする傍ら、まとまった休みのたびに交通機関と宿を押さえて
全国各地の島を訪れる。かれこれ7年になるそうだ。
宝島から名瀬へ入るというつぶやきを、Twitterで偶然見つけたのが出会いだった。
その日のうちに「初めまして、もしご迷惑じゃなければ…」と
怪しさ満点で声をかけてご飯をご一緒したのだが
話を聴けば聴くほど「そう、島旅好きってこういう人のことだ」と感じた。
雨にもめげず、風にもめげず
フェリーやヘリの欠航や日程変更にもめげず
待ち時間や、することがないときのために本をたくさん持ち
「ここで何ができるの?」「思ってたのと違う」なんて言葉が口から出ることはなく
その島を訪れて、時間を過ごすことが目的なので
何もしなくても、誰かに何をしてもらわなくてもいい。
おもてなしが特にないときは、そういうところだと受け止め
釣りや散歩や送迎など、厚意で誘ってもらったときには素直に乗っかる。
旅人によって考えも旅のスタイルもやりたいことも違うものだが
島に暮らした私には、おおはたさんの旅の話が心地よかった。
ひょっとしたらおおはたさんは、
「自分にとっての非日常がそこに暮らす誰かの日常」だと知っているんじゃないかな。
自分と違う暮らしを営む人への敬意が、旅の根底にあるからこそ、
必要以上に立ち入ることもなく、自分の物差しを押し付けるでもなく
「暮らす人の日常」とは違う、自分にとっての非日常を、
自分の体ひとつ分だけ、楽しむことができるのかも知れない。
こんな旅人なら、仲良くなりたいよ。
こんな旅人に、私もなりたいよ。
さらに同業であることもわかり、世代や好きな音楽など共通点も多く意気投合。
今でも折にふれ近況報告をする間柄だ。
そんなおおはたさんの島旅をまとめた本が出版された。

「離島ひとり旅」大畠順子
旅の思い出や道中に遭遇したさまざまなハプニングのエピソードが記されているほか
交通機関や所要時間、人口、買い物事情などの基本データがとにかく網羅されている。
旅した人だからこそ書ける文章と写真で
いわば、おおはたさん責任編集の「体験談盛りだくさんのガイド本」だ。
紀行文としても楽しいし、次なる旅人の道しるべにもなってくれる。
なお、本書で紹介されている30の島々のうち、鹿児島県の島々は9島。
全体の3割だ。なんだか嬉しい。
与論島と喜界島が初級編に
加計呂麻島と上甑、中甑、下甑の甑島列島が中級者編に
宝島と請島、与路島が上級者編に紹介されている。
なお、喜界島へは去年9月に降った「50年に一度の豪雨」の翌週に滞在したそうで
写真から、豪雨の爪跡を感じとることもできる。
島好きも、島に興味ある人も、旅人も、島に住む人も、
よその島へ行ってみたい人も、是非読んでみてください。
出版元の公式サイトはこちら。
ちなみに。
ブログの冒頭で書いた私の個人的疑問は、本書を読んだらあっさり解けた。
おおはたさんを「離島女子」とするなら、
島も含めた知らない土地の人と暮らしに惹かれる私は
「離島女子」でも「離島移住女子」でもなく「奄美に人生揺さぶられた女」だ。
私にとって「知らない土地の暮らしや言葉を知りたい」という興味の対象は、
島に限ったことではないのだと思う。
ただ、興味の源泉であり根っこは
島が旅先ではなく日常の舞台であった、ということだ。
…と今更ながら気づけたのも本書のおかげ。
はあ、島旅がしたい。奄美に行きたい。
島が好きではあるが、改まって「好きだ」と言うと何か違う。
奄美へ移るとき「そんなに島が好きなんだねえ」と問われると答えに困った。
そりゃ奄美は大好きだし、訪れたことのない全国の島を知りたい気持ちもある。
けれど「島が好き」だから奄美へ行くわけではない。じゃあ何なんだ…
しっくりくる答えが、ずっと出なかった。
3年ほど前、そんな私の前に「島旅好き」「離島女子」の権化が現れた。
おおはたさん(@oohatasan)である。
東京で会社勤めをする傍ら、まとまった休みのたびに交通機関と宿を押さえて
全国各地の島を訪れる。かれこれ7年になるそうだ。
宝島から名瀬へ入るというつぶやきを、Twitterで偶然見つけたのが出会いだった。
その日のうちに「初めまして、もしご迷惑じゃなければ…」と
怪しさ満点で声をかけてご飯をご一緒したのだが
話を聴けば聴くほど「そう、島旅好きってこういう人のことだ」と感じた。
雨にもめげず、風にもめげず
フェリーやヘリの欠航や日程変更にもめげず
待ち時間や、することがないときのために本をたくさん持ち
「ここで何ができるの?」「思ってたのと違う」なんて言葉が口から出ることはなく
その島を訪れて、時間を過ごすことが目的なので
何もしなくても、誰かに何をしてもらわなくてもいい。
おもてなしが特にないときは、そういうところだと受け止め
釣りや散歩や送迎など、厚意で誘ってもらったときには素直に乗っかる。
旅人によって考えも旅のスタイルもやりたいことも違うものだが
島に暮らした私には、おおはたさんの旅の話が心地よかった。
ひょっとしたらおおはたさんは、
「自分にとっての非日常がそこに暮らす誰かの日常」だと知っているんじゃないかな。
自分と違う暮らしを営む人への敬意が、旅の根底にあるからこそ、
必要以上に立ち入ることもなく、自分の物差しを押し付けるでもなく
「暮らす人の日常」とは違う、自分にとっての非日常を、
自分の体ひとつ分だけ、楽しむことができるのかも知れない。
こんな旅人なら、仲良くなりたいよ。
こんな旅人に、私もなりたいよ。
さらに同業であることもわかり、世代や好きな音楽など共通点も多く意気投合。
今でも折にふれ近況報告をする間柄だ。
そんなおおはたさんの島旅をまとめた本が出版された。

「離島ひとり旅」大畠順子
旅の思い出や道中に遭遇したさまざまなハプニングのエピソードが記されているほか
交通機関や所要時間、人口、買い物事情などの基本データがとにかく網羅されている。
旅した人だからこそ書ける文章と写真で
いわば、おおはたさん責任編集の「体験談盛りだくさんのガイド本」だ。
紀行文としても楽しいし、次なる旅人の道しるべにもなってくれる。
なお、本書で紹介されている30の島々のうち、鹿児島県の島々は9島。
全体の3割だ。なんだか嬉しい。
与論島と喜界島が初級編に
加計呂麻島と上甑、中甑、下甑の甑島列島が中級者編に
宝島と請島、与路島が上級者編に紹介されている。
なお、喜界島へは去年9月に降った「50年に一度の豪雨」の翌週に滞在したそうで
写真から、豪雨の爪跡を感じとることもできる。
島好きも、島に興味ある人も、旅人も、島に住む人も、
よその島へ行ってみたい人も、是非読んでみてください。
出版元の公式サイトはこちら。
ちなみに。
ブログの冒頭で書いた私の個人的疑問は、本書を読んだらあっさり解けた。
おおはたさんを「離島女子」とするなら、
島も含めた知らない土地の人と暮らしに惹かれる私は
「離島女子」でも「離島移住女子」でもなく「奄美に人生揺さぶられた女」だ。
私にとって「知らない土地の暮らしや言葉を知りたい」という興味の対象は、
島に限ったことではないのだと思う。
ただ、興味の源泉であり根っこは
島が旅先ではなく日常の舞台であった、ということだ。
…と今更ながら気づけたのも本書のおかげ。
はあ、島旅がしたい。奄美に行きたい。
ムビナナ1周年ウィークと上映会ライビュの衝撃
観た映画2024_その2
観た映画2024_その1
観たライブ2024_その2
観たライブ2024_その1
大阪・寺田町FireloopでSOUTH BLOW
なちかしゃんのに、初めて触れる音風景_AMAMISM大阪公演
ウチにはぷしゅが必要だ_シナぷしゅ the MOVIE
映像が聞こえて音が見える_BLUE GIANT
観た映画2023とTHE FIRST SLAM DUNK
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