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2021年07月04日

音楽とことば、ライナーノーツ

ライナーノーツを書くことは、
今まで誰にも言ったことがないくらい
密かな夢で、目標でした。

アーティストの受けた影響、制作の経緯や背景、
プロデューサーやミュージシャンなども含めた
「誰のどんな仕事か」を知ることが好きで。
ライナーは、仕事で音楽を紹介する情報源であり、
芋づる式に音楽をたどるガイドにもなってくれる。

なので今回、ヤマケンさんから依頼をいただいて
本当に光栄でした。


とてもとても個人的な、思い出語りをしますね。

「アヤちゃんのピアノはジャズっぽくない」
「ノリが縦なんだよねー」
という、何気ない一言が刺さった学生時代。
数年にわたってうだうだ悩んだ末、
「ジャズらしさって何!?」をテーマに卒論を書きました。

ある音楽の界隈には共通のことばがあって
(たとえば「いえーい」とかグルーヴが…とか
 タイム感がいいとか、ノリが縦だねーとか)
これらの人々が共通の語彙を使うことにより
カテゴリーがつくられるのではないか…という内容です。
「語られることでつくられる ジャズというカテゴリー」
というタイトルを、ゼミの先生からいただきました。

ただ、当時の私には突っ込んだ考察ができないどころか
自分の問題意識を明確に言語化するところまで至らず
スフレも驚くほどふわっふわな内容で提出。

協力いただいた音楽関係の友人知人から
「その研究、おもしろいの??」と尋ねられても
うまく答えることができなかったけど、
「音楽の言語化」は、当時の私にとって
確かにいちばんの関心事でした。

…そういえば、私はずっと考えている。

ラジオの仕事を始めてからは、
「ことばがジャンルを形づくるなら、
 音楽に興味のないリスナーにも届くように…!」と
評論語彙や特定の共通言語をなるべく避けて
話したり書いたりしてきたな…ということに
ライナー執筆に取り組みながら初めて気がつきました。

「音楽とことば」は自分にとってずっと
大きなテーマの一つだったんだな。
学生時代の悩みと、その後考えてきたことが
唐突に全部つながった気がした。

音楽とことば、ライナーノーツ

アルバム「Shimauta Bass」については
一度故郷を離れたヤマケンさんが自らたどった島や唄、
細やかな仕掛けや坪山豊さんとのエピソードなど
伝えたいことがたくさんありました。
でも、私の熱苦しい思い入れや感想はさておき
ライナーでは、私自身と島唄の距離感を出発点に
アルバムから受け取った情景などの言語化に努めました。

それほど、聞こえてくる音を受け止めてほしい作品です。

私が学生時代を思い出すきっかけになったのは
ヤマケンさんのお囃子特化型「イトゥ」でした。
ピアニストBobby Timmonsが参加した60年代の曲
「work song」が織り込まれています。
「ジャズ怖い…わかんない…」とうじうじしていた頃
豪快でファンキーなボビーちゃんのピアノに
視界がひらけたことを思い出して、たまらなくなった。

ちなみに「イトゥ」は労働歌、
労働歌は英語で「work song」、
「働く」はシマグチで「わぁくする」と言います。
何重にも楽しいな。


今回お声がけいただいたことで、
ヤマケンさんのものづくりに
少しだけ、加えていただけたことも嬉しかったです。

自分の拙さばかり痛感するけど、ものをつくりたい。


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